講演の概要を以下にご紹介する。
講演のスタートから、ご自身がかかわり、演じたコマーシャルソングのいくつかを実際に歌って、生徒たちから喝さいを浴びた。
不動産会社、日本酒、目薬、化粧品、JR東海などよく耳にするものばかりであった。
スタジオミュージシャンとしては、ユーミン、中島みゆき、松田聖子等アーティストのCDのレコーディングを数多く手がけてきた。
また、ヴォイストレナーとして数千人を指導してきた。この中には、EXILEのATSUSHIやCHEMISTRYの堂珍嘉邦などもいる。
「金町中学から両国高校に入学した。中学時代は、学校以外で勉強することはほとんどなかったが、高校では家での勉強(予習)
をやらざるを得なかった。どうせ勉強するのなら、得意なこと、好きなことをやりたいと考えた。
得意なことは、音楽と現代国語、好きなことは、生物(自然)であった。
クラブ活動は、ギター部に入り、生物部も準部員のようにしていた。
得意なことは、人が小さい時から一人で長時間飽きずに没頭できることであり、同時にその才能があるといえよう。
皆さんの中で、何が得意か好きかまだわからない人は、ぜひ、自分の内面を見つめ、振り返って、それを見つけるようにして欲しい。
人の声には2種類あり、一つは自分で聞こえている自身の声、もう一つは、他人が聞いている自分の声である。
自分が聞いている声は、頭の中で共鳴している声である。他人が聞いている声は、それよりもさびしい、悪い声になっている。
自分の声については、80%近い人が嫌いである。他人はそれよりも更に悪い声を聞いているわけである。
良い声を出すには、共鳴させることが大切で、バイオリンも本体が共鳴して音が出ている。声の通りの悪い人はどこかで締めつけている。
私は、高校の進路指導の時何をやりたいかについて、生物か音楽か迷っていた。進路指導の先生から、生物をやりたいなら京大だといわれた。
しかし、その日の学校からの帰路 錦糸町駅に着く途中で、突然何か衝動を感じ、『音楽はどうするか』という声が聞こえた。
それが帰宅するまで続き、次の日 音楽をやりたいと先生に伝えた。そして、国立音楽大学の声楽科へ入学した。
イタリアオペラの発生は、のどを開けて共鳴させている。欧米人の声帯は太いが、日本人は声帯が狭く声が細い、のどを広げて、
力まずに発生することが大切。
社会心理学者のアルバート・メラビアンによると、『初対面の人が何によって人を判断するかについて、見た目55%、声38%、話の内容7%』であるという。
このように人に与える印象において、声の比重は大変大きい」
ここからいよいよヴォイストレーニングに入った。
生徒4名、先生2名が壇上に上がり、最初に各自に自己紹介をしてもらい、トレーニング後の声と比較した。
指導は、細かく具体的なもので、紙上で正しく伝えるのは不可能であるが、その一部をご紹介する。
会場の聴講者全員も立ち上がって、壇上の人たちに倣って、トレーニングを実行した。
先ず、両腕、全身を微振動させ緊張を解く。次いで立位の重心をやや前におく。唇を閉じて息を口唇間から強く吐いて、唇を上下に振動させる。
これによって声帯がリラックスする。
また、しゃべる時の舌の位置によって声が違ってくるという。すなわち、舌先が下の歯先に触れる位置から、舌を奥へ4段階に引く、
これに舌が浮いた状態を加え、合わせて5段階の舌の位置について、それぞれで、アー、エー、イー、オー、ウーと発声して、
その人なりの良い声が出る舌位置を見つけ、この舌の位置で発声するよう心掛ける。
実際、壇上の人たちのトレーニング後の自己紹介の声は、最初と比べて、響きが良くなったように思えた。
「声は波動であり伝播する。良い波動を出し、それが広がることで周囲に良い効果をもたらすはずである。素敵な波動を世の中に伝播したい」
桐ケ谷さんは音楽家であり、当然ともいえるが、声に対する感受性(耳の良さ)が、人並み外れて鋭敏であると感じた。
聴講した生徒、先生方、保護者の方など、日頃ほとんど意識していない発声の仕方に関して、意識改革がなされたことと思う。
☆ ☆ 先生2名と生徒4名へのヴォイストレーニングの様子 ☆ ☆
☆☆ 先生・生徒のヴォイストレーニング ☆☆
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淡 交 会 事 務 局